SECRET COCKTAIL
「うん。雅君のお勧めで」
その答えが合図のように、雅君は手早くカクテルを作り始めた。
雅君のカクテルは物凄く美味しいけれど。
そんなにお酒に詳しくない私は。
いつもこうして、お勧めのカクテルを作ってもらっている。
お気に入りのものをリクエストする事もあるけれど。
ここで飲むお酒は、大抵雅君にお任せだ。
目の前で、優雅な仕草でカクテルを作る雅君の仕草に見惚れてしまう。
この時間が堪らなく好きだ。
この一瞬、雅君の瞳がすっと色を変える。
いつもは明るめの透き通るような茶色い瞳が。
真剣味を帯び、店内のライトを反射して黒く艶やかに光る。
静かな空間に、シェイカーを振るリズミカルな音だけが響いていた。