SECRET COCKTAIL


男の人にも色気ってあるんだと、初めて感じた。


芸能人のように媒体を通したものではなく、生身として感じる男の人の色気のようなものが。

すっと細められる目元と、形の良い口元が浮かべる笑みと共に溢れ出て来るような感じがして、表情の変化につい魅入られてしまう。


「トイレって、こっち?」


濡れたように光る茶色い瞳に顔を覗き込まれて、ハッと我に返った。


「・・・あ、はい。あの扉の奥です」


「さんきゅ」


雅弥と名乗ったその人は、今度は爽やかな笑みを浮かべて軽やかにその場から去って行った。





私の周りに、彼の纏っていた空気の余韻を、はっきりと残して。


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