SECRET COCKTAIL
「あら、美來、帰ってたの」
呆然としたままリビングに入ると。
キッチンから顔を出してきた母親が声を掛けてきた。
「うん、ただいま」
「今日はね。お兄ちゃんの友達が来てるのよ」
「さっき、会ったよ」
「一人暮らしの子が多いみたいだから、晩御飯食べて行ってもらう事にしたの。美來もそのつもりでね」
なんて言いながらすぐにキッチンに姿を消した母親の言葉に、自然と頬が緩んでしまう。
頭に浮かんだのは、廊下で会ったあの人の爽やかな笑顔だった。
一緒に夕食を食べられるんだ。
素直に、嬉しいという感情が湧いていた。