SECRET COCKTAIL


「あ、いえ。ちょっと圧倒されてしまって」


「ごめん。ちょっと騒がしいよな」


「そんな事ないです。気にしないで下さい」


慌てて止めていた箸を動かすと、彼はふっと笑みを零した。


その笑顔にまた手が止まりそうになったけれど。

何とか意識を戻して、食事に向かった。


それでもなんだか、その人の動向が気になってなかなか食事がのどを通らない。



私は、どうかしてしまったんだろうか。



「なんだよ?美來、食欲ないのか?」


目の前からお兄ちゃんが顔を覗きこんでくる。


「ううん。そんな事ないよ」


笑みを返しながらそう答えると、お兄ちゃんはほっとしたような表情を浮かべる。


いつもこうだ。


年齢が離れているせいか。

お兄ちゃんは心配性で、過保護な位私に甘い。


兄妹だけど、私たちは物凄く仲が良くて。

と、いうか。

仲が良いという以上に、周りにシスコンと言われるのも平気で、昔から私を可愛がってくれる。

< 98 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop