SECRET COCKTAIL
「あ、いえ。ちょっと圧倒されてしまって」
「ごめん。ちょっと騒がしいよな」
「そんな事ないです。気にしないで下さい」
慌てて止めていた箸を動かすと、彼はふっと笑みを零した。
その笑顔にまた手が止まりそうになったけれど。
何とか意識を戻して、食事に向かった。
それでもなんだか、その人の動向が気になってなかなか食事がのどを通らない。
私は、どうかしてしまったんだろうか。
「なんだよ?美來、食欲ないのか?」
目の前からお兄ちゃんが顔を覗きこんでくる。
「ううん。そんな事ないよ」
笑みを返しながらそう答えると、お兄ちゃんはほっとしたような表情を浮かべる。
いつもこうだ。
年齢が離れているせいか。
お兄ちゃんは心配性で、過保護な位私に甘い。
兄妹だけど、私たちは物凄く仲が良くて。
と、いうか。
仲が良いという以上に、周りにシスコンと言われるのも平気で、昔から私を可愛がってくれる。