強引な彼の求愛宣言!
言葉通り、その後武藤さんが不穏な動きを見せることはなく。

私のナビに従って車を走らせる彼の横顔を、助手席からちらりと盗み見る。


……まさか、憧れの武藤さんとこんな状況になるとは。半日前までの自分が聞いたら、卒倒してしまいそうだ。



「あ、武藤さん、そこのコンビニまでで大丈夫です。歩いてすぐなので」

「別に、家の前まで送るよ」

「えーっと、……私、実家なんで。家族に見られると、ちょっと」



そう言うと彼は納得したのか、素直にウインカーを出した。

コンビニ駐車場の端の方に車を停めて、ギアをパーキングに入れる。



「あの、ありがとうございました。……いろいろと」



『いろいろと』の部分に、ついさまざまな感情がこもってしまった。

そしてそんな内面を表した微妙な表情をしてしまっていたのか、武藤さんが耐えきれないといった風に吹き出す。



「はは。そんな、こわい顔でお礼言われてもなあ」

「……感謝はしてます。本当に」



つい拗ねたような顔をして、私はつぶやく。

眠気のあまり行き倒れそうな私を、一晩保護してくれたこと。

朝ごはんを用意して、こうして車で送ってくれたこと。

……途中にあった悪ふざけは、いただけないですけど。
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