強引な彼の求愛宣言!
「こっちこそ、ありがとう。ゆうべの居酒屋も、楽しかったよ」



ハンドルに両腕を預けながら、そう言って武藤さんが笑う。

……うう、ずるいなあ。やっぱり彼の声と笑顔は、素敵なんだ。



「私も、楽しかったです。えっと、それじゃあ、」



言いながらシートベルトを外して、ドアに手をかけようとした。

だけどその前に、肩を掴んで振り向かせられる。



「待って」



すぐそばまで迫っていた端整な顔が、イタズラに笑っていた。

そのまま、武藤さんは私の頭を引き寄せて。



「……ッ、」



つい小一時間ほど前も経験したように、身体中に電流が走った。

彼が、私の首筋に顔をうずめている。



「っん、や……っ」



自分の意思とは関係なく、勝手に甘い声がもれた。

武藤さんは私の鎖骨の上あたりに噛みついたかと思えば、強くその場所を吸う。

ジリッと、痺れるような痛みが一瞬襲った。



「……ふ。くっきり」



たぶん赤くなっているそこに指先で触れながら、彼が言う。

私はというと予想もしなかった出来事に、パクパクと口を動かすことしかできなくて。



「なっ、なにしてるんですか武藤さん……!??」

「俺の思う通りにいかなかったから、腹いせ」

「!!?」



なんて横暴な言い分……! 開いた口がふさがらない。

顔熱いし、ここはコンビニでまわりに人もいるし、……というか!
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