恋の後味はとびきり甘く
「昨日のことはホント、すみません。年下で頼りないって思われたくないから、鈴音さんの前ではかっこつけたかったんです。それなのに、かっこ悪いところを見せちゃったから、内心すごく恥ずかしくて焦ってて」
「頼りないとか、かっこ悪いとか、思ったことないです」
「ホントですか?」
「はい。かっこ悪いのは私の方です。涼介くんのクラスメイトに嫉妬なんかして……」
「かっこ悪くなんかないです。むしろ、うれしかった。鈴音さんが俺のためにヤキモチ焼いてくれてたんだって」

 彼の言葉に照れくさくなって、私は彼のシャツの袖をきゅっと握った。

「鈴音さんに会えてよかった」

 涼介くんがホッとしたように言って腕を解き、私が持ったままのメモ帳とボールペンに気づいた。

「そうだ。まだ電話番号、交換してなかったですよね」

 彼が私の手の中からメモ帳とボールペンを抜き取り、一ページめくってサラサラとペンを走らせた。

「俺の携帯番号です。仕事の後、無事に帰宅したらメッセージをくださいね」
「あ、ありがとうございます!」
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