王子の初恋は私な訳ない
「岩谷、お前はどうなん?」
と、シゲが王子にふる。
「ちょ!それはやめてくれ!!」
「なんだ、成田。お前珍しく必死だな。笑」
「そりゃそうだよ!王子の口からお前無理って言われたら立ち直れない!」
「まあ、それもそうか・・・って、俺達は良いのかよ!」
「うん。本当は私の事好きなの知ってるから。」
「「勘弁してください。」」
「おいこら。」

王子は答えを出さず笑っていた。
良かった、みんなの前で振られちゃったらノリで返せない。

「ってか岩谷、どんな子好きなの?」
シゲが唐突にふる。
王子の顔が少しキョトンとした。
「さっき話してた子どーよ?上杉だっけ?」
美麗ちゃんの事だ。
心臓の音が激しくなってきた。
「ヤス、駄目だ。美麗ちゃんは俺のだ。」
シゲが唐突に爆弾発言。
シゲは美麗ちゃんがタイプらしい。
「いや、お前に聞いてない。」
「まああの子はまた違う可愛さあるよねえ。」
と澪ちゃんがコーヒーを飲みながら話す。
「んで、どうなの?岩谷。」
みんなが会話してる間、私はずっと王子の顔を見ていた。
1度も目は合わず、ずっと笑っていた。
すると1度首を縦に振り
「うん、可愛いよね。」
そう言った。
その瞬間何も音が聞こえなくなった。
分かっていた筈なのに、どっか期待していたようだ。
やっぱりあのキスは私が思ってるのと違う。

「シゲヤス。勘弁してくれ。美麗ちゃんと私では天と地の差でしょ、比べないでっ。」
せめての訴えだった。
シゲヤスはゲラゲラ笑いながら「ごめんごめん」と言った。
何がごめんだこのやろう頭突きかましたろか!?と心の中で思いながら笑って見せた。
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