かわいい君まであと少し
 私も一安心して麻婆丼を口に入れると、由加里が楽しそうに麻婆丼を食べていた。
 由加里のことだからお弁当を作ったのが私だということには気がついているのだろう。今度、いろいろ聞かれそうだなと思った。
 社食から戻り、バッグの中に入れっぱなしだったスマホを取り出すとメールが一件あった。
《お弁当、ありがとう美味しかった》
 たったそれだけの短い文章だけど、すごくうれしかった。
《プレゼン頑張ってください》
 それだけを返信して、定時を目標にして仕事を始めた。

 ああ、終わった。
 時計を見ると、五時ちょうどだった。荷物をまとめて、急いで立体駐車場のほうへ向かった。そして駐車料金を精算して車を探す。
 えっと、F3‐20、F3‐20。あった。
 ロックを解除して、運転席に乗り込んだときびっくりした。予想以上にシートが後ろだったから。
 望月課長って、足長いんだな。身長が一八〇センチくらいありそうだし。それに比例するのか。
 シートの位置を合わせ、ルームミラーを直した。
 さて、行きますか。
 久しぶりの運転のため、安全第一で聡さんのマンションへ向かった。
 インターフォンを鳴らすとドアが開き、聡さんと志穂ちゃんが「おかえりなさい」と言って、出迎えてくれた。
「ただいま。志穂ちゃん、お利口にしてたかな」
 志穂ちゃんの前にしゃがむと「うん」と元気よく返事をしてくれた。
「そっか、えらかったね」

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