かわいい君まであと少し
【6】恋から始めよう
 当たり前の日常が戻ってきた。朝起きて、一人分の朝ご飯を用意して、仕事に行き、
帰りに友達と夕ご飯を食べて帰る。
 本当に普通の日だ。先週のあの慌ただしさはどこに行ったのだろう。
 あれからお隣さんでもある望月課長とは仕事以外であっていない。
 私がちゃんと答えを出すまで、このままのなのだろう。
「怜子、仕事終わった?」
「うん」
「じゃあ、どっかでご飯食べて帰ろう」
「そうだね」
 由加里と駅前のファミレスに入った。
 注文を終えると、由加里が真剣な顔つきで爆弾発言をした。
「私、江口君と付き合うことなった」
「え? いつから? 何でそうなったの?」
「日曜日に急に呼び出されて、流れでデートしたのよ。暇だし、いいかなっていう軽いノリで。江口君って草食っぽいじゃない。そしたら結構肉食で。手は当たり前のように繋いでくるし。由加里さん、なんてかわいい顔で言ったと思ったら、急にキスしてくるし、しかも上手いの。それから……」
 予想の展開だ。やるな、江口君。しかも一日で由加里を落とすって、タダものじゃないかも。
 由加里を江口君のことを話しているときは、なんだか幸せそうだし。見守っていきますか。
 のろけ話を聞き流しながら、そう思った。
「ハンバーグステーキセットとカニクリームコロッケ定食にです」
 店員さんが来てくれたおかげでのろけ話が終わった。
「怜子のほうはどうなの」と、ハンバーグを切りながら聞いてきた。

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