かわいい君まであと少し
 竹井さんは再び車に乗り込み、少し離れた場所にある駐車場へと車を向けた。
「さあ、私たちも部屋に行かないと」
「うん」
 家具を運ぶために使っている階段とは別の階段で二階に上がり、家具の置く位置を指定した。
 指定したといってもこの部屋にはほとんどの家具があり、私が持ってきたのと言えば、本棚、プラスチック製の収納ケース、カラーボックス、ローテーブルくらいだ。
 ベッドは先週の土曜日に通販で購入したものを入れてもらった。荷物は全くないが家具は揃っていたため、どっかのモデルルームのようだった。
 部屋の奥から段ボール箱が積み木のように積まれる。最後の一つが部屋の中に入り、引っ越しは無事に終了。
 あとは土日を使って、部屋を整理すればいい。
「はあ、とりあえず荷物は運んだけど、生活用品関係は今開けちゃったほうがいいわよね」
 姉が髪を束ねながら言った。
「うん。えっと、この箱に入っているんだけど」
 三つ重なったうちの一番下の箱に、大きく日用品と書いてあった。その中にはシャンプーや石けんなどが入っている。
 一番上の箱を抱きかかえたら、竹井さんが「力仕事は僕がやるから」と言って、上二つの箱を退かしてくれた。
「ねえ、食器やお鍋は、このローテーブルの上に乗っている段ボールの中だよね」
「うん。お姉ちゃんは食器しまってくれる?」
 私は姉にカッターを渡した。一応、食器が割れていないかを確認し、食器を託した。
「怜子ちゃん、僕は何をすればいい?」
 お義兄さんは軍手をはめて準備万端という感じで立っていた。

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