かわいい君まであと少し
ぬいぐるみが喜んで見えるように、左右に揺らしながら渡すと嬉しそうに受け取った。
「あの、志穂ちゃんのおじいちゃんおばあちゃん、だから、望月課長のご両親か旦那さんのご両親に預けませんか、普通」
「俺の親は二人で五泊六日の豪華クルージングの旅で海の上。旦那の両親は大阪に住んでる。妹夫婦は同じ県内に住んでいる」
「なるほど。それで何日間預かる予定なんですか?」
「来週の日曜日」
「一週間?」と聞き返すと、望月課長は困ったなという顔をした。
「平日の会社に行っているときはどうするんですか? 志穂ちゃん、保育園に入ってるんですか?」
「いや。妹は専業主婦だから。一応は考えているが、向こうの予定にもよる」
「はあ」
時計を見ると、そろそろ五時になるところだった。
「そろそろ、志穂ちゃんの夕ご飯の準備したほうがいいですね」
「もうこんな時間か」
「望月課長は料理できますか?」
短い沈黙のあと「カップラーメンなら」と言った。
「それは料理じゃありませんよ。できないんですね。いいです、私が作りますから」
「藤崎、料理できるのか」
「できますよ。一人暮らしを始める前に母と姉にみっちり仕込んでもらったので」
望月課長は「そうか」と言って、おもむろにタバコを咥えた。
「ちょっと! 何してるんですか!」
「あ、すまん」
「志穂ちゃんを預かっている間は禁煙です」
テーブルの上に置いてあったタバコとライターを取り上げた。
「あの、志穂ちゃんのおじいちゃんおばあちゃん、だから、望月課長のご両親か旦那さんのご両親に預けませんか、普通」
「俺の親は二人で五泊六日の豪華クルージングの旅で海の上。旦那の両親は大阪に住んでる。妹夫婦は同じ県内に住んでいる」
「なるほど。それで何日間預かる予定なんですか?」
「来週の日曜日」
「一週間?」と聞き返すと、望月課長は困ったなという顔をした。
「平日の会社に行っているときはどうするんですか? 志穂ちゃん、保育園に入ってるんですか?」
「いや。妹は専業主婦だから。一応は考えているが、向こうの予定にもよる」
「はあ」
時計を見ると、そろそろ五時になるところだった。
「そろそろ、志穂ちゃんの夕ご飯の準備したほうがいいですね」
「もうこんな時間か」
「望月課長は料理できますか?」
短い沈黙のあと「カップラーメンなら」と言った。
「それは料理じゃありませんよ。できないんですね。いいです、私が作りますから」
「藤崎、料理できるのか」
「できますよ。一人暮らしを始める前に母と姉にみっちり仕込んでもらったので」
望月課長は「そうか」と言って、おもむろにタバコを咥えた。
「ちょっと! 何してるんですか!」
「あ、すまん」
「志穂ちゃんを預かっている間は禁煙です」
テーブルの上に置いてあったタバコとライターを取り上げた。