かわいい君まであと少し
「あい」
 小さな子供にしかできないかわいい返事をして、私の手からそれらを受け取った。
 並べるというよりは置くという言葉のほうが正しい気もするけれど、志穂ちゃんの一生懸命な感じがすごくかわいかった。
 どんぶりが二つに、子供用のお椀が一つ。普通サイズのどんぶりがあるおかげで、子供用のお椀は余計に小さく見えた。

「へえー、本当に料理できるんだな」
「うわ、まだ疑ってたんですか」
「いや、いや。まあ、気にするな。さっ、食べよう」
「あ、その前に志穂ちゃんエプロン着けてあげてください。荷物の中に多分入っていると思うんですけど」
「うん、入ってたな」と言って、望月課長はボストンバックの中から、ヒマワリの絵柄の小さなエプロンを取り出した。
「志穂、エプロン着けような」
 大きな手が細かいことをしているのは、意外とかわいいなと思った。

「よし、食べるぞ」
 望月課長と一緒に「いただきます」と言うと、志穂ちゃんも「いたらきましゅ」と言った。
 これぐらいの子って、自分で食べるのかな? それとも食べさせる?
 志穂ちゃんの様子を見守っていると、自分でスプーンを持ち、野菜を掬おうとしている。お椀がひっくり返らないように、軽く手を添えた。
 すると、ニンジンを口に入れた。
「すごい」と、私が関心していると、望月課長も「成長って早いな」と言った。
「半年前はスプーンを持っても、掬わないし、口にも運ばなかったよ。本当にすごい」

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