かわいい君まであと少し
 また、タバコ探してる。
 心の中で小さく笑いながら、食器を拭いていた。
「望月課長、食器洗い終わりましたよ」
「ああ、ありがとう。全部任せて悪かった」
「いえ。どうします? そろそろ、志穂ちゃんをお風呂に入れます?」
「そうだな。志穂は八時には寝るし」
 時計は七時十五分を指していた。

「じゃあ、お風呂出てからすぐに横になれるように、布団の準備していたほうがいいですね。志穂ちゃん用に一組出ていますけど、もう一組あるんですか?」
「あるよ。とりあえずテーブルを端によせるか」
 そう言って、望月課長はテーブルを押して、壁にぴったりとくっつけ、座イスを横に置いた。
 押し入れから、もう一組布団を出し、手際良くシーツを掛けていく。
 この部屋に入ったとき、旅館の部屋みたいと思ったけれど、やっていることも旅館みたいで、志穂ちゃんとシーツを掛けるのを手伝っているとき、ちょっと笑ってしまった。
「藤崎、楽しそうだな」
「いや、旅館みたいと思って。なんでベッド置かないんですか?」
「敷布団好きなんだ。実家の自分の部屋が狭い和室で、ずっと敷布団を上げ下げして生活してたんだ。だから落ち着く。ここの部屋に引っ越そうって決めたのも、広くて和室だったから」
「そうなんですか」
 シーツを掛けるのが手際いいはずだわ。数秒でシーツの角を敷布団の下に入れていくからびっくりした。

< 43 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop