日常の体温、特別の鼓動


ぼくは肩をすくめて、出来立てのマカロンを妹に勧めた。


「こういう機会じゃないと、受け取ってもらえないからね」

「ふぅん。頑張ってね。いただきます」


妹がマカロンを口に運んだ。

うん、ちょうどいい。

女の子の小さな口にも丸ごと含んでしまえるサイズだ。

これなら彼女にも食べやすい。


「味は?」

「おいしい。上出来」


シンプルなコメントに、よかった、と笑う。

彼女に食べてもらうときはいつも、ぼくは少し臆病だ。

本当にうまくできているかどうか、急に自信がなくなったりする。


< 3 / 19 >

この作品をシェア

pagetop