日常の体温、特別の鼓動
ぼくは肩をすくめて、出来立てのマカロンを妹に勧めた。
「こういう機会じゃないと、受け取ってもらえないからね」
「ふぅん。頑張ってね。いただきます」
妹がマカロンを口に運んだ。
うん、ちょうどいい。
女の子の小さな口にも丸ごと含んでしまえるサイズだ。
これなら彼女にも食べやすい。
「味は?」
「おいしい。上出来」
シンプルなコメントに、よかった、と笑う。
彼女に食べてもらうときはいつも、ぼくは少し臆病だ。
本当にうまくできているかどうか、急に自信がなくなったりする。