放課後、キミとふたりきり。

「えっと……ど、どうしたの?」

「助けて沢井さん! 矢野が離してくんねーんだよ!」

「ムダに力強ぇのこのゴリラ!」

「誰がゴリラだ。ふざけんなこのもやしどもが」



ふたりを捕獲した状態のまま、矢野くんが低く唸るように呟く。

その表情は不機嫌、というよりは不愉快そうなもので、一体何があったんだろうと三人の顔を見比べた。



「こいつら、こそこそと教室のぞきこんでたんだよ」

「えっ」

「買い出し行ってたんじゃねぇのかコラ」

「くそ~! 離せ、この馬鹿力!」

「越智のアホ! だから俺はやめとけって言ったんだ!」

「なんだと!? 横山だって結局はノッたんだから同罪だろ!」

「俺のせいだっつーのか!」

「実際お前のせいだろーが!」



矢野くんに首根っこをつかまれたまま、つかみ合いのケンカを始めたふたりに頭が真っ白になる。
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