放課後、キミとふたりきり。

落ちこむわたしに、親友が満面の笑みで親指を立ててきた。

無神経にもほどがある。


「じゃあ細かく打ち合わせを……」

「栄田! 矢野戻ってきたぞ!」


教室の入り口で、廊下を見張っていたらしい男子が叫んだ。

壁の時計を見れば、いつの間にか昼休みが終わるギリギリの時間になっている。


「やっべ! えーと、じゃあ矢野抜きでLINEグループ作るから全員参加な!」

「おっしゃ。午後の授業は全部作戦会議だな」

「お前ら先生に見つかんないようにしろよ?」

「くれぐれも矢野には秘密で!」


バタバタと、みんな慌てて自分の席へと戻っていく。

被害妄想だろうか。

クラスメイトたちが妙に楽しそうな顔をして見えたのは。


遅れてわたしもノロノロと、食べかけのお弁当箱を片付け始めた。

好物のからあげを食べる気さえなくなっていた。


< 24 / 223 >

この作品をシェア

pagetop