私のエース
 俺は叔父さんと組んで、ヤバい橋も渡って来た。
汚い仕事もやってきた。


流石に命の危険までは感じたことはなかったけど……
それでも一歩間違えると警察沙汰にもなる仕事なのだ。


尾行中にストーカーと間違えられ、通報された同業者もいる。
見るからに怪しいと、変態者扱いされたケースもある。


身辺調査でも個人情報の漏洩になるからと言って、しゃべってくれなくなってきたようだ。


だから行動は常に冷静に慎重にかつ敏速に行われてなくてはいけないのだ。




 探偵って言うのは、ゴミ漁りもする。
それも列記とした違反事項だと俺は知っている。
それでも背に腹は変えられなくてやってしまっているけれど……


《この資源物(新聞・雑誌・ダンボール・紙パック・布類・アルミ缶・スチール缶・ペットボトル)は市の資源回収に出したもので、所有権は市にあります。無断で持ち去ると窃盗罪にあたるので発見しだい法的手続きをします》

母が何時も朝早く持って行く、ゴミ置き場に設置してあるバスの停留所みたいな立て看板にはゴミの持ち去り禁止とハッキリ明記してある。
もしも違反を犯したら、相当の罪になるらしい。
だから本当は恐い。


古新聞やリサイクル品だけじゃない。
今、自治体によっては可燃物でも有料なんだ。
その仕組みの殆どが、専門のゴミ袋販売だ。
それで出さないと回収しないから、皆高い料金を払うしかないのだ。


そんな品物を無断で持ち去っていいのか?
俺は何時も疑問に感じていた。


テレビの刑事物や探偵物のドラマでは時々そんな場面も見受けられるけど……




 どうしつゴミを持って来るのか?
その答は個人情報の特定に繋がるからだ。


浮気の調査だったら、チリ紙の中まで調べ上げる。
皆無防備だから簡単に捨ててしまうようだ。
それに乗じて徹底的に証拠を集めるのだ。


其処に誰と誰が住んでいるのかさえ瞬時に解る。
その友好的な手段は、ダイレクトメール。
これこそがその個人情報の宝庫だった。


住所や名前だけではない。
時には個人を識別出来る番号までふってある。


これでアクセスしたら、その人の一部を垣間見られるかも知れないんだ。
だから俺はお袋に、切り刻んでから捨てるように言っているんだ。




 ゴミを調べることは犯罪の証拠集めには効果抜群なのだ。


もちろん浮気調査にも欠かせない手段だったのだ。

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