私のエース
 「この次に死ぬのは誰ですか?」
あまりにも唐突な質問だった。

でもみんな、鉛筆の先を見つめた。


そしてその答えは《いわきみずほ》だった。



(えっ!? いわきみずほ!? 俺か? それとも……)


「いわきみずほ?」


「あれっ、二人いるよ」


「そうだ。男なのか女なのか聞いてみて」
千穂が言った。




 出た答えは《おんな》だった。


(それでか!? そんな事で……みずほが選ばれたのか!!)

俺は怒りに震えた。




 そして放課後。
岩城みずほは屋上へ呼び出された。


「昨日キューピット様を遣ったら、あんたが死のお告げがあったの。だからあんたは死ななきゃならない 」
百合子が言う。
そして攻めてコンパクトを見せた。


「恋人もあんたの死を望んでいる」
そう言いながら徐々に屋上の柵に追い詰めた。


俺は慌ててコンパクトを閉じた。

それ以上見るのが怖くなって。


(そうか……きっと前日にコンパクトは奪われていたんだ。そうだよ!! だから見えるんだ!!!!!!)




 集団心理ゲームのようだった。


《岩城みずほが自殺する》

誰からともなく言い出した噂。


俺が出発した後、クラスの中に情報が錯綜する。

そう。
俺が居なくなる頃をみはかって。


成績優秀なみずほが居なくなる。

自分から死んでくれる。


クラスメートが、特にライバル達が浮き足立つ。


そして……


みずほは追い詰められた。



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