叶わない。
江ノ島に着いた時には時間が昼を回っていた。

『お腹すいたぁ~』

ひなさんは、海鮮類が駄目なのを前の連絡で聞いていた僕は、ちょっとお洒落なお店を予約していた。

『いやーうちの旦那もこれくらい気が利くといいんだけどねぇ』

旦那と比べるなよ。と思いながらも、ご飯を食べている。

『ちょっとたばこ吸ってくるね。』

僕は、席を立って煙草を吸いに喫煙所に入って少したった頃。
携帯が鳴った。

『よしきは本当にいい人だね。会ってまだ時間たってないけど、よしきの良いところわかってきた。』

わざわざメールで送ることか?と思いながらも、席へ戻る。

『煙草臭!』

僕自身体が弱いので煙草はやめなければならなかったが、中毒性から抜け出せなくなっていた。

『しょうがないでしょ!折角禁煙席を選んだんだからそこは我慢して!』

軽く冗談を入れながら、笑いあっていた。

『てか、さっきのわざわざメールすること?笑』

『正面切って言うのなんか恥ずかしいじゃん?』

旦那がいるのに恥ずかしいもくそもあるか。ストレス発散だぞ?
そう思いながらも、適当にあしらった。

ご飯もたべ、満腹になったひなさんは、あくびをしながら、テーブルに両手をつき目を閉じている。

『なに?眠いの?眠いならあそこホテルあるよ』

冗談で僕は言ってみた。

『昨日緊張してあまり眠れなかったんだよね。』

『緊張ってなにに?もしかしてバイク後ろ乗るの初めてだった?ごめんね。怖かったよね。』

『あ、違う違う!なんかね。愚痴とか聞いてもらってるうちに、この人と結婚してれば幸せだったのかな?とか思っちゃってさ』

『俺なんかだめだよー。収入も少ないし、今の旦那が一番だとおもうよ。』

心では喜んでいた僕。

『ねぇ?よしき。もしさ?うちがよしきのこと好きっていったらどうする?』
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