焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……ありがとう」


本当はこういうの、女の私が盛り上げなきゃいけないんだろうな、と自己嫌悪に陥りそうになりながら、私は素直にお礼を言った。
それを聞いて、フォークを口に咥えたまま、勇希がきょとんと目を丸くする。


「そうだよね。……私と勇希だから、今日と明日は大事な日だよね」


そう言って勇希に微笑みかけると、同じように柔らかい笑みが返って来た。


「……って言うか。正直ちょっとショックだったよ、俺は。まさか智美が、付き合い始めた記念日忘れてるとか」


咎めるように目を細めて呆れ果てた声で呟く勇希に、私の行動もピタッと止まる。


「入籍は明日にしようって、絶対普通の提案だったと思うのに。『まだ早いよ』とか簡単に言われちゃあ」

「う……」


言い訳も出来ない。


挙式はまだ先だけど、先に入籍をと決めた時、勇希に明日を指定されて、私はただ驚くだけだった。
長い付き合いだから、お互いの両親への挨拶もすんなり終わらせることが出来たけど、『そんな急がなくても』と言った私に、勇希は心底から呆れた顔をしたのだ。


『七年目の節目だし、恋人になった日を一生の記念日にしなきゃもったいないだろ』


そう言われて、初めて『記念日当日』を思い出した始末だった。
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