焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「やっぱり……熱がある」

「大丈夫だから」


勇希は私の手をパシッと払って、よっと掛け声をかけながら立ち上がった。
途端にフラついてるくせに、大丈夫なわけがない。


「ちょっと、勇希!」


私の先に洗面所に向かおうとする勇希の腕を掴んで止めた。


「無理しないで休んでよ。ほら、ベッドに……」

「いいって」

「良くない! 一日くらい休んだって大丈夫でしょ」

「俺がいなきゃ進まないんだよ」


私から素っ気なく顔を背ける勇希に、またしても手を払われる。
地味に傷つくと同時に、相当きついくせに頑なな勇希にムッとした。


「勇希がいなきゃ進まない仕事なんかない!」

「俺にはあるの」

「そんなわけないでしょ!? 勇希がいなきゃダメな仕事ばっかりだったら、うちの会社、企業としてどうよってことになるじゃない!?」


私の一歩前を歩きながら、勇希は鬱陶しそうに額に手を当てる。


「うるせーな……。智美に関係ないだろ」

「関係あるわよ。不本意だけど、勇希が風邪ひいたのは私のせいなんだから」

「別に智美のせいじゃないから……」

「あ~、うるさい! いいから大人しくして!!」


そう言って、私は再び勇希の腕を掴んだ。
振り払われないように、胸にギュッと抱え込む。
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