焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……サンキュ」


目を閉じてかすかに微笑みながらそう呟く勇希に、私の鼓動がドキドキと速くなる。


私がいつも使うのは右側半分だけ。
そして一番落ち着くのは、左に身体を向ける眠り方。
無意識のうちにそれが習慣になっていたのは、いつもベッドの左側に勇希が眠っているからだ。
手を伸ばすと勇希に触れられて、それだけでとても安心出来たから……。


「……っ」


『今でも』と勇希から指摘されて、私は心の中で焦った。


「違う、違うからっ……」


咄嗟に勇希の言葉を否定しながら言い返した。
だけど勇希はもう目を閉じてしまっている。


勇希の為にスペースを空けてるんじゃない。
だってその位置に慣れてしまっているから。
心地良く眠れる身体の向きは、身体に馴染んでしまっているから。


そんな言い訳は勇希の耳には届いていない。
久しぶりのベッドがよほど気持ちいいのか、それとも相当身体がきついのか、大きくゆったりと眠りに入る呼吸を始めた。


寝返りを打つ勇希にドキッとする。
右側に身体を向けた勇希は、空いているスペースに腕だけを長く伸ばした。
まるで、何かを抱え込むような仕草に、鼓動が速くなってしまう。


その腕の中に今でも私がいるような気がして、落ち着かなくなった。
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