焦れきゅんプロポーズ~エリート同期との社内同棲事情~
「……別れる男なのに、心配なんだ?」


薄く浮かべた笑みでそう言われて、私はグッと言葉に詰まる。


「だって、どう考えても私のせいで……」

「気にすることないじゃん。どうせ綺麗さっぱり別れるつもりなら」


『別れる』を強調して連発する千川君はとても意地悪だ。
私は口を噤んで、彼をジトッと睨んでみせた。
私の視線に気付いて、千川君は箸を咥えたままでニヤッと笑う。


「それも納得いかない、って顔だな」

「そういうわけじゃ……」

「そういうわけだろ。少なくとも俺だったら、六年も付き合ってる相手とカレーが原因で別れたくなんかないね」

「それは私だって……」


ムッとしながら声を尻すぼめた。
あの夜のカレーは怒り爆発の原因になっただけで、別れようという言葉のきっかけでしかない。
不貞腐れた気分になって思わず唇を尖らせると、「やっぱりそうか」と言いながら、千川君がテーブルに身を乗り出して来た。


「この間話した感じだと、葛西は勘違いしてるぞ」

「……それは私も知ってる」


なんせ、あれからの勇希の私への謝罪も言葉も、全部まるで見当違いなんだから。


「けどな。多分ちょっと気付いて来てる。昨夜佳代から聞いた話じゃ、『この状態で結婚なんて言ったら逆効果な気がする』ってブツブツ言ってたってさ」

「……え?」
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