恋はまるで、粉雪のようで。
そして、祐子と美佐に会う日曜日。


祐子の家の最寄り駅で美佐と待ち合わせした。


次の電車で着いた美佐は、1年前と変わらず女らしくて。


私は、美佐みたいに年齢相応の女性らしさが欠けている気がした。



「ひなた!」


「美佐ひさしぶり、元気そうだね」


「うん、名古屋でもバリバリ働いてるから」


お互いの近況報告をしながら祐子の家に向かった。


祐子はすっかりお母さんしていて、娘の理央ちゃんもかわいくて。


子供っていいな、って純粋に思った。



理央ちゃんがお昼を食べて眠ったから、3人でお茶しながらおしゃべりした。


「祐子、子育てってどう?」


美佐が予習するみたいに聞くから、


「えっ美佐、もしかしておめでた?」


祐子が突っこむと、


「ちがうよ、でもそろそろ子供のこと真剣に考えようかなって。


卵子も年を取るっていうじゃない」


美佐が真面目な顔して答えた。


「子育てって、自分の時間はなくなるし、めんどうなことも多いけど、生まれたばっかりの時の写真を見返すと、こんなに大きくなったんだな、元気で大きくなってくれるだけで幸せだな、って思うよ」


結婚もしていない私にも、響く言葉だった。


子供を産めるのは、女性だけで。


でも、女性一人では赤ちゃんはできなくて。


どんな男性と結婚して、どんな子供に恵まれるのか、ふと考えた時、櫂くんの顔が頭に浮かんで、急に恥ずかしくなった。


櫂くんとつきあい始めたばかりなのに、どうして結婚なんて意識しちゃったんだろう。


こんなこと考えているのを櫂くんに知られたら、重い女だって嫌われてしまう。



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