恋はまるで、粉雪のようで。
淡い風景
翌朝は、昨日の夜のことを思い出して、少し照れてしまった。


目覚めたら、櫂くんが隣で眠っていた。


私が用意した朝食をおいしいって食べてくれた。


『いってきます』って言って、キスしてくれた。


もし結婚したら、こんな風に過ごすのかな。


そんな妄想ができてしまうほど、幸せな月曜の朝だった。




それからまもなく、繁忙期に突入してしまい。


火曜か水曜の週1日しか休めなくなった。


毎日電話していたし、週1の休みもうちで過ごして、買い物して食事をして体を重ね、翌朝一緒に出勤した。


櫂くんはいつも優しくて、一緒にいると癒された。


私の部屋には、櫂くんのお泊まりセットやスーツが増えていって。


「俺が甘えてばっかりでちょっとイヤだけど」


と言いながらも、櫂くんは会うのを楽しみにしてくれていた。



このまま、ずっと一緒に過ごせると信じていた。


櫂くんが裏切るわけないって思っていた。



そんな、3月上旬の寒い日曜日。


朝から雨が降っていて、夕方には雪になるかもしれないって予報があった日。


私は、4月から大学に進学して一人暮らしを始める女子高生とそのお母さんと3人で社用車に乗って、物件を案内していた。


この時期は、人気物件はまだ居住中で内見はできないことが多いけど、外見や周囲の環境を確認したいっていうご要望は多くて、今日もあいにくの天気の中、朝から3件お連れした。











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