桃色アルバム
医師は、あの状態で一瞬でも意識を取り戻したことは奇跡だといった。




そのよこで、ケイタはどれだけの時間上野の隣に座っていたか、分からない。


ふらふらとひとりで病院を出ると、自然と足は学校へむかっていた。



体育館や運動場から、部活をやっている子供の声が聞こえる。

ケイタは迷うことなく校舎の裏へ足をはこんだ。





校舎のかどを曲がると、ケイタの目には神桜の木がほかの木とは比べものにならないくらい、美しく光っていた。


近寄り、木にそっと触った。


「・・・・上野・・・見てるか‥?おまえと前に見たときより、うんとキレイだぜ」

『・・・そうだな』

ふいに、上野の声が聞こえ、振り向いた。

そこには、上野の姿はなかった。
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