チョコよりも俺が欲しいのは
何だか楽しそうに言う光輝に"釣りなんて興味ないから嫌だ"とは言えず頷いた。
「じゃあそろそろ莉奈と出掛けるので、また帰りに寄ってもいいですか?」
「おお!飯食べていけ!寒いから鍋でも用意して待ってるからな!」
「マジすか!?食べます!
じゃあ行ってきます!」
そう言って家の両親に見送られながら私達は玄関を出た。
「ねぇ光輝。そんな家の両親に気を使わなくていいよ?」
「ん?気なんて使ってねぇよ?」
「だってさっきの釣りだってお父さんが言い出したんじゃないの?」
「俺さ、別に莉奈の両親に気を使ってもないし、釣りに誘ってくれたんじゃなくて俺が誘ったんだよ!」
「えっ?」
てっきりお父さんがまた光輝を誘ったんだと思っていた。
「俺の親父もお袋も小さい時から忙しくて、日曜も仕事に行く事もよくあったし、たまに休みかと思うと昼過ぎまで寝てたりしてさ。
お袋も昼間はパートに行ったりしてたし家族で出掛けたのってあんま無いんだよ。
だから莉奈のお父さんとゴルフに行った時も凄え楽しかったし嬉しかったんだ。
嫌だなんて一回も思ってない。
それにお父さんが俺に言ったんだ。
莉奈が思春期になって段々、会話が少なくなったのが寂しいってさ。
皆で出掛けると自然に話たりできるし、娘と顔を合わせるのはご飯の時だけってのは寂しかったんだろ。」
お父さんそんな風に思ってたんだ…。
避けてるつもりはなかったけど、確かに家に居ても久しぶりに早くお父さんが帰ってきて一緒に食事をしても、話しかけられても答えるだけで、会話は特に続かずに食べると直ぐに自分の部屋に行ってたっけ。
「だから来週は皆で釣りに行こうな!
よし!今から出かけるか!」
「うん!」
私は光輝のバイクの後に乗って、光輝はバイクを走らせた。