「先輩。」
やっと助かる。

お願い、今の人、助けて…

もう一度強く洸を押すと洸は離れた。

「美湖…?お前、泣いて…」

「バカ!洸なんてきらいだよ」

私はそれだけ言い残してカーテンの外に出た。

──ドン。

「きゃ」

「あ、わりぃ。大丈夫か…?」

声で分かる。

男の人の声。

その人は私に手を貸してくれた。

その人は、

「あの…ありがとう、ございま…す」

私の前にいた人は
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