半分のキモチ
「何やってんだよ」


宮本に何度この言葉を言っただろうか。
そして「何でもない。大丈夫だから」と何度この言葉を聞いたことだろうか。


「早く戻りなよ」


宮本は俺を見ることなく、座ったまま動こうとしない。
そんな宮本の隣に座ると手元には泥だらけの内履き。


それを隠すように内履きを握り「清水には関係ないから」と小さな肩が震えている。


またかよ。
俺の前では意地でも泣かないってか……


「良いから、貸せよ」

「何で……」

「は?」

「なんで、ほっといてくれないの……」

「この状況でほっとけるかよ。行くぞ」


宮本の腕を掴み自分の方へ引き寄せると、その勢いのまま宮本の涙が俺の制服を濡らす。

< 105 / 250 >

この作品をシェア

pagetop