半分のキモチ

｢あのね｣

｢あぁ｣

｢これで最後にするから、もう言わないから、ちょっと聞いて欲しいことがあるんだけど｣

｢あぁ……何？｣


宮本は一度俯くとまたすぐに俺に視線を戻した。



｢やっぱり、私は清水が好き。どうやっても忘れることなんて出来ない。始めは好きって気持ちを知っててもらうだけで良かった。好きってだけで良かったの……って言うか、そう自分に思い込ませてた｣

｢……｣

｢本当は……本当はずっと清水の彼女になりたかった。好きって言ったらやっぱり清水にも好きって言って欲しかった。辛いって……悲しいって……清水の前で泣きたかった。大丈夫……あっ、大丈夫じゃないけど大丈夫。無理だって分かってるから、だから……ちゃんと清水に振って欲しくて｣


宮本の目から今までずっと溜めていた涙が溢れている。
その涙を何回も拭いながら、それでも真っすぐ俺だけを見て真っすぐ俺への想いを伝えてくる。


｢俺が好きなのはりさだけだって……宮本じゃないって……好きじゃないって……ちゃんと清水の口から言って欲しくて｣

｢……それ、｣

｢ん？｣

｢それ言ったら宮本は俺のこと忘れられんの？｣

｢……うん｣

｢忘れようとしても忘れられなかったのに？｣

｢……うん。忘れる｣

｢……分かった｣