この手を離さない
この日から、放課後の病院通いが私の日課になった。



最初こそ呼吸すら苦しそうだった光輝も、事故から2ヶ月が経った今ではすっかり元気。



個室だけど一般病棟に移り、車いすでなら自由に動き回れる位に回復している。



残念ながら、大学の方は半年の休学を余儀なくされてしまったが、命があるだけありがたいと本人は割り切っているようだ。



暇な時間にはバスケ雑誌ばかり見て大学に戻れる日を待ち焦がれていた。



ただし、光輝が元気になった今でも私の煮物はお預け状態だ。



いざとなったら恥ずかしくて、とても渡せなかった。




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