俺様上司は溺愛体質!?

 真屋時臣は無言である。うんざりしているような、困ったような、けれど全てを受け入れているような、そんな風である。
 潤は大きな目をパチパチさせしばし考えた後、そして「まぁ、色々ありますよね」と、納得したように頷いた。









 ざわざわと人の声がする。
 いつもは静かでないと眠れないのに、どうして酔っている時は人の気配がある方が眠れるのか、不思議だ。

 ちとせはゴソゴソと身じろぎする。

「寒いのか」

 低い声が頭上から聞こえてくる。

(寒い……かも。)

 すると肩がふんわりと覆われる。控えめな柑橘系の香りが鼻先をくすぐった。



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