小話置き場
「……汐見先輩が、カッコ良すぎて困る」
私の返事にふたりは顔を見合わせたあと、一様にため息をついた。
「うええ、違うんだ聞いてくれよぉ!真剣に悩んでるんだよぉ!」
やれやれという風に首を振るふたりに泣きつく。気持ちは激しくわかるけど、これは結構深刻な問題なんだ!
「ま、前よりずっと、カッコよく見えるっていうか」
なんかキラキラ度がやばいというか、先輩の笑顔を見る度に胸が苦しくなるというか。
「……嫉妬深く、なっちゃうっていうか」
以前から私の嫉妬深さは自他共に認めるものではあるけど、最近になっていよいよ息がしづらくなってきた。
思いつめた顔をする私とは反対に、里菜とチョコちゃんは納得いかない顔で首を傾げる。
「それの何が悪いのよ。汐見先輩はあんたにゾッコンでしょ」
それを聞いて、さっき松原先輩に言われたことを思い出した。
『ラブラブだね〜、おふたりさん』
そうだ、ラブラブのはずだ。
本来なら、悩む必要はない。私と先輩の仲は順風満帆そのもの。
だけど私という女は、ここまできてやはり恋愛下手をこじらせていた。