小話置き場
なんだか教室にいる二年生女子の視線も痛いので、さっさと自分の教室に戻った方がいいだろう。
「えーと……じゃあ、放課後に」
「うん。また連絡する」
「ばいばいマルちゃん〜」
ぺこりとお辞儀をして、教室を出る。
汐見先輩の目はずっと優しくて、私の中に甘ったるい気持ちが広がった。
教室を出る直前、松原先輩が私を見てなんだか意味深にニヤニヤしていたのが見えて、なんだかなあと思った。
自分の教室に戻って、お菓子を食べていた里菜とチョコちゃんのもとへ向かう。
「あ、マル。おかえり〜」
「ただいま」
ポッキーをくわえた里菜が、間延びした声で私に声をかける。チョコちゃんの隣の席に座って、私は大きくため息をついた。
「なぁにそのため息〜。汐見先輩に会いに行ったんじゃないの?」
「そうだけどぉ……」
「なにかあったの?」
チョコちゃんがちょっと心配した目でこっちを見てくる。
私は唇を尖らせて、「なんかぁ」と声を出した。