小話置き場
「……い、嫌だって言ってどうするんですか?先輩困っちゃうでしょ!?せっかく他の人と仲良くなれたのに……」
「なんで?困らないよ」
ハッとして、目の前の彼を見る。
先輩は、迷いのない目で、私だけを見ていた。
「君が笑ってくれる以上に、僕にとって大事なことなんかないよ」
彼の言葉に、目を見開く。
出そうとしていた声が、喉奥で動きを止めた。
「僕が君のこと考えて行動するのは、あくまで僕の意志だよ。僕が君をいちばんに考えたいから、そうしてるだけ」
その清々しいまでの発言に、私は思わず口を閉じた。見開いた目で、呆然と彼を見つめる。
今自分が言ったことの異常さもわかっていないのか、彼は本当にいつも通りの顔をしていた。
「………はは」
少しの沈黙のあと、私の口からこぼれたのは、笑いだった。
「はは…先輩って、ほんと………」
頭おかしい。
私が言うのも何だけど、割とほんとにおかしい。大丈夫かよ。やっぱそこんとこすげー心配だよ。