小話置き場
「……じゃあ、私が先輩に『他の女の子と喋らないで』って言ったら、どうするんですか?」
「……今と大して変わらないし、その通りにすると思う」
「毎日一緒に帰ってって言ったら?」
「君がいいなら喜んで」
「……私がすごいワガママ女になって、先輩を振り回しまくったら」
「……たぶん君には無理だと思うけど、別にいいよ。楽しそうだし。ワガママでもなんでも聞くよ」
……違うじゃん。そうじゃないじゃん。
なんでそんな当然だみたいな顔してんの。平気でそんなこと言えんの。
先輩おかしいよ。
私の方がよっぽど先輩より先輩のこと考えて、大事にしてるよ。
なんなんだよ。私、あんなに悩んだのに。
『だって相手はあの汐見先輩よ?』
……ぜんぶ馬鹿らしくなるくらい、この人はどこまでもまっすぐだ。
おかしくて、笑いが出る。肩を小さく揺らして俯いた私を見て、先輩が怪訝そうに声をかけた。