最後のキス*短編*
結果がわかってる賭なんて、ああ、なんて悲しいのだろう。
身体だけでも、あの鍵のように冷たい関係だけでも繋がっていたい。
そう思っていたはずなのに、人間の欲というのは限りない。
だから私は限りなく可能性の低い賭けにでたのだ。
目の前に現れた横断歩道、私は信号を確認することなく渡る。
と、不意に肩を掴まれた。
「な、んで」
「なんではこっちのセリフ、なんなの突然」
不機嫌丸出しの顔で彼は肩で息をしていた。