正義の味方に愛された魔女3

「まぁ、これから自宅に連絡するから、親御さんが迎えに来るまで少しでも反省しとけ」


龍二がご自宅と、警察署にも連絡した様子…。


「警察に、連れていかれるの?」


「一応、話を聞く場所ってことで、な」


「や、やだ!やだよー警察になんて」


今ごろになって泣き出したんですけど。


「貴方がそれだけのことをしちゃったの。
沙耶ちゃんに怪我をさせなかっただけ、まだましだけど、多少なりとも心に傷を負ったわよ?」


でも沙耶ちゃんは、私の腕に手を当ててニコニコと満面の笑みを浮かべてこちらを見た。
状況的に……かなりチグハグなんだけどなぁ。

あらら……。恋する乙女ゴコロは隠せませんね。
隼人がドラマみたいな助け方するから……あぁ、これはつり橋効果で本気になっちゃってるよ?
隼人は…どう出るのかな…?


《百合さん、私は大丈夫なんですよ?
隼人さんがカッコ良く助けてくれて、嬉しくて、気持ち悪いのなんてたいしたこと無いです》


「全然、私は平気ですよ。
こういうの、何て言うんでしたっけ?
えっと…地獄で仏、じゃなく…隼人さんだから…地獄で素敵な悪魔に会ったようでした」


「沙耶ちゃんってば、やっぱり天然だわ。あはは」


「もー!だから、私は天然じゃないですってば」


隼人はおでこに手を当てて苦笑していた…。





龍二が連絡してから暫くして、颯斗くんのご両親が揃ってやってきた。


顔見知り程度だとは言え、ご近所さん。
こじれないように穏便に、ことの顛末を話した。

ご両親が深々と沙耶ちゃんと私達に頭を下げ、謝ってくれた……けど颯斗くんは、



「ね、ねぇ……さやさん……やっと名前も分かったし、僕と友達になって、くれないか…な?」


これは、何も分かってないじゃないの。


「ごめんなさい。無理です」


「颯斗くん?あなたが沙耶ちゃんにまず言うべき言葉は、それじゃないと思うけどね」


「……………??」


何故わからないのか?が解らない私だった……。







< 16 / 36 >

この作品をシェア

pagetop