正義の味方に愛された魔女3
俺は恋愛に極端に臆病になっていたんだ…。
『好きな人が出来ないなら恋愛なんかもうしない』と最近、宣言したばかりだし、
沙耶ちゃんは、こんな力を持つうちの親子にとって、とても大事な子なんだ。
沙耶ちゃんを本気で好きになれなかったら、
こんな天使みたいな子を本気で愛せなかったら、
俺は男として人として最低だよな。
沙耶ちゃんの気持ちは言葉づかいが違うだけで、口に出すのと違わないじゃないか。
それなのに俺のこのヘタレ具合は何だ?
細くて小さい体をそっと包み込んだまま、
俺は一言一言確認するように話した。
「沙耶ちゃんは、気持ちと言葉にズレが無くて信頼できる子だよ。
素直で明るくて、元気だよね。
母さんの店の大事な子っていうだけじゃなくて、
俺にとっても大事だよ?
ずっとさ、天使みたいな子いないかな?って、
いたらきっと好きになれるのにって思ってたんだから。
出会ってからは、妹みたいな感じで可愛いなって思っていたけど、
好きになれたら幸せなんだろうなって…。
でも沙耶ちゃんは、純粋すぎて、穢れを知らなすぎて、
悪魔みたいに真っ黒な俺には勿体ないんだよ」
《……視られているのを知らない人や、後でわかった人は『悪魔みたいな』人だと思うのかも知れないけど、
会う前から知ってたし、百合さんで免疫ついてるし……》
「あぁ…あのね、母さんは恋愛対象外でしょ?俺は28歳の男なんだよ。沙耶ちゃんは免疫ないのと同じ」
「考えすぎじゃないでしょうかね?
私だって、ずるいこと考えたりごまかしたり隠し事したりしますよ?」
「え、どんな?」