妬こうよ、そこはさ。【番外編】
くしゃくしゃにしたラップをさらに握り締めて、黙って彼女を見遣ると。


俺に箸を持つように促しながら、彼女が静かに言う。


「折衷案だよ」


微笑みに無性に泣きたくなった。


彼女は「これでいい?」なんて確認をしなかった。


言葉は惜しまない、そういう約束だから。


妥協案だなんて言わなかった。


どちらか一方への妥協ではなくて、二人の好みの折衷案だから。


そういえば、彼女は俺がこの前煮物を作ったときに、まず真っ先に「美味しそうだね」と言ったのだった。


あとは俺に質問されてから、「濃いねえ」と穏やかに水を飲んだだけだった。


箸でそっと運んだ、やっぱり物足りない感じがする薄味で、だけどなんかかっこいい花形の人参に。


ああ好きだなあ、と思った。


だからだろうか。


「あのさ」

「うん」

「そろそろ籍入れないか」
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