俺様富豪と甘く危険な恋 ハネムーン編
「嫌だね」

「嫌だねって……」

子供みたいな発言の蓮にキョトンとなる栞南だ。


「お前の両親が滞在中、俺は品行方正を保っていたんだ。衝動的にお前に触れたくても我慢していたんだからな。別荘でふたりきりになって思う存分――」

「レンのすけべ!」

「結婚式が終わってもファミリールームから俺のところへ戻ってこなかっただろう?」


2日前に結婚式を挙げたふたりだが、栞南は両親と一緒にファミリールームに泊まっていた。


「だって、レンも良いって言ってたし……、お母さんたちと久しぶりだったし……」

「それに優香って友達も始終俺たちの邪魔をしていたよな?」

「邪魔はしていない……と思うけど……」


蓮の怒りが加速していくように、車もどんどんスピードを上げている。

優香は栞南につらい思いをさせた蓮をようやく許したようだが、おもしろがってか出かけるにもいつも付いてきていた。


「でもね? それとこれとは別だからね。マーケットに行きたいんだからっ!」

「却下。ダニエルたちが行ったマーケットがどこにあるのか知らない」

「もうっ! そこに立派なカーナビが付いているじゃない」

「引き返す気はないからな。もう着いたしな」

「えっ?」


蓮に言われて辺りを見てみると、閑静な別荘地なのか、十分な敷地を取った大きな住居が目に入る。
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