偽りの御曹司とマイペースな恋を
スキンシップからはじめよう



瓜生の登場で会社の経営は危ない橋を渡らずに済みそう。
だけど、当然何時迄も援助を得られる訳ではない。

何とか自力で上向きにするべく奔走中。
それで職場が不安に包まれピリピリしたりしてでも歩は
直接は関われないでいた。

まだ職場の先輩に戦力として見られていないのもあるけれど、
瓜生が何となく歩を企画から引き離している気がする。

残業して遅くなるのがだめなのか?
けど本格的に編集の仕事につくとなると遅くなるのが普通になる。

その時彼はどんな顔をするのだろう。まさか辞めさせたりはしないよね?

最近それが不安だったりして。


「ねえねえ」
「だめだ」

やっと迎えた日曜日はデートもかねての日用品などの買い出し。
あらかじめ決めておいてメモしたものを次々と買っていく。
瓜生は口にする物にはこだわるが他はこだわらない為
ほとんど歩の趣味で決めていく。それに異論を唱えることはない。

「まだ何も言ってないよ」

そして反対するときはいつも即答。

「お前は今自分でちゃんと管理出来ないものを買おうとしている」
「……」
「俺は仕事があるし暇があれば料理を研究したいから。面倒は見れないぞ」
「……可愛いのにな」

ほんとに駄目なの?と母親におねだりするようにじーっと見つめてみる。

「そういえばブロッコリー買うんだった」

それから連想したのか瓜生はさっさとその場から去ってしまう。
歩が拗ねた顔をしても彼は見ていない。敢えて構わない戦法。
これをされるともう歩としてはその場から離れるしかない。
お財布を握っているのは瓜生。

もちろん自分で買うし飼うつもりだった。でも逆らえない。

「……」

まだ不満そうな顔で瓜生の後ろにくっついて歩く。

「ほら。お前の好きな激辛スナック買うから」
「そうやってごまかしても私には分かってるからね」
「…何が?」
「そこまで子どもじゃないからね」

ぷりぷり怒りながらもカゴにお菓子を入れた。
それから会計を済ませても帰りの車の中でもずっと不機嫌。
瓜生はちらっと歩の様子をうかがいながらも特に何も言わず。
部屋まで戻ってきた。荷物はちゃんと2人分担して持って。

「そんなにあのトカゲが欲しかったのか?」
「アオジタトカゲはもういいの」
「じゃあ…なんだ?ブロッコリー嫌いか?」
「ブロッコリーも関係ないの」
「……あ。わかった」
「それも違うからね」
「何で分かった?」
「…もう」

歩はさらに不満そうな顔をしてソファに座る。手には激辛スナック。
袋を開けてポリポリ食べ始める。
基本お菓子も瓜生が自作のものを歩に食べさせるが
この激辛スナックは彼女にとって絶妙な香辛料らしく
これじゃないと嫌だとよく買う。

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