一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~
翌朝、目が覚めると部屋の中に游さんの姿はない。
「帰ってこれなかったんだ」
それでも私は着替えを済ませてお弁当を作り始める。
下ごしらえしておいた唐揚げを揚げて、おにぎりを作り、タマゴを焼く。フルーツはカットして、密封容器に入れた。水筒は二つ。中身は水だししておいたアールグレイ。それをカゴバックに詰めて、八時。游さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
私は玄関先まで出て行くと、游さんを迎え入れる。
すると眠そうな目をこすりながら、游さんは「ただいま」と言った。心なしかやつれて見える。ずっと朝まで仕事をしていたのだろうか。
「あの、大丈夫ですか? 体」
「ううん、平気。ねえ、何時ごろ出掛ける?」
「ピクニックにですか?」
分かってはいたが、確かめるように聞いた。すると游さんは「そう」と頷く。
「無理しないでください。お弁当は一応作ったけど、家で昼ごはんにすればいいですし。だから休んでください、游さん」
「なんで? 行こうよ。由衣子ちゃんが行きたくないって言うなら別だけど」
「……いいえ、そんなことはありません」
「ならいいじゃん。僕はいきたいよ、ピクニック。シャワー浴びて着替えてくるね」
絶対に無理をしている。でもこれが游さんの優しさなのだろう。私のために予定をつぶさないようにしたいという。そんな気持ちを無下にはしたくない。ありがたく受け入れようと思った。