一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

「今度は僕の番ね」

 游さんはそういうと、私の足の間に顔を埋めた。恥ずかしくて、くすぐったくて、気持ちよくて。堪らずに声を上げる。

すると隣の部屋に接している壁がドンと大きな音を立てた。

“うるさい”とでも言う様にもう一度叩かれた壁。游さんの顔を見会わせて、それからプット噴き出した。

「……うるさかったんだね。ここのアパート、壁が薄いのだった。忘れてたよ」

 游さんはそう小声で言って肩をすくめた。

「全部聞こえちゃってたんでしょうか?」

 私も声を潜めて聞く。

「うーん、どうだろう。少なくともさっきの声は聞こえてたかもしれないね」

 游さんはクスリと笑う。

「うそ、私の声、大きかったですか?」

「……うん。そんなによかった?」

 羞恥心を掻き立てる意地悪な質問をされて、私は戸惑いながらも頷いた。

「よかったです」

 おそらく顔は真っ赤に違いない。幸い、部屋が暗いので気づかれはしないだろうけれど。

「……そういうの反則。続きがしたくなっちゃうよ。でも、今日はもう寝ようか。明日も仕事だしね」

 游さんは私を抱きよせると、額にそっと唇を押し付ける。

「おやすみ」

「おやすみなさい」

 冷めていく甘い熱に名残を惜しみながら、私は游さんの腕の中で静かな寝息を立て始めた。

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