一途な外科医と溺愛懐妊~甘い夜に愛の証を刻まれました~

 翌朝目を覚ますと隣に游さんはいなかった。

もう仕事に行ったんだろうか。全然気が付かなかった。

もぞもぞと置きだして脱ぐ散らかした下着を拾い上げる。ふとテーブルの上を見るとそこにはメモが置いてあった。私は目を走らせる。

“先に行きます。今日は泊りの仕事なので帰れません。游”

游さんの綺麗な字でそう書かれていた。

「そっか、今日は帰ってこないんだ」

 なんか、さびしい。

私はシャワーを浴びて支度をすると会社へと向かった。

今日で二日目。本格的に仕事を覚えないといけない。その思いとは裏腹に、足取りは重く、憂鬱な気持ちが湧いてくる。

私はため息を吐きながら改札口で足を止めた。

「やっぱり、行きたくないな」

 独り言ちながら無意識にバックの中のスマホを手探りで探す。

するとパスケースに手が触れた。昨日游さんがプレゼントしてくれたものだ。まるで游さんが頑張れといってくれている気がする。

「……そうだよね。頑張らなきゃ」

 私はスッと息を吸い込むと人の波に紛れて改札を抜ける。そして満員電車の海に身を投じた。

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