運命の恋、なんて。
女の子に腕を引かれて、八雲くんが振り返る。




「これありがとな。帰りは?また会える?」




「うん」




今会ったばかりなのに、また会えるのが嬉しい。




「ええっ、今日は残って準備するんじゃなかった?早速サボんないでよ~」




女の子に突っ込まれてる。




「終わったあとじゃん。また連絡するなー」




笑顔で手を振ったものの。




準備が終わったあとに会うとしたら、一体何時?




あたし、それまでどこにいれば…。




疑問は残るけど、あっという間にふたりが去って行ったからなにも聞けずじまい。




こういうとき、引きとめてでも聞いた方がいいのかな。




そうは思うけど。




いつも考えては行動できないあたしには、到底無理な話。




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