運命の恋、なんて。
記念日
自転車に立って乗ると、確かに安定する。




スピードを上げても落ちる心配もないし、カーブも平気。




道行く人たちが、あたしたちを振り返る。




こんなの…ホントはしちゃダメなんだろうけど、今日だけは許して欲しい。




だって…今日は、八雲くんとのちゃんとした初デートだから。




ちゃんと、っていうのがどういうものかよくわからないけど、ふたりっきりで出かけるのはこれが初めて。




初めての彼氏に、初めての自転車デート。




初めてだらけで、ドキドキする!




「ひゃ~」




「どした?スピード出し過ぎて怖い?」




「ううん、違うの。嬉しくって」




風をきる疾走感と、八雲くんとデートしているワクワク感とが合わさって、意味なく言葉を発してしまった。




なんだかいつもと違うあたしが、顔を出した感じ。



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