同期がオトコに変わるとき


「ごめーん、明日は行けない」


そう返したらすぐに『いつならいい』と返事が返ってきて、吹き出しの応酬が始まった。


「当分無理」

『忙しいのか』

「そうじゃない」

『理由を言え』


離れたいと返しても応酬が続きそうで、ぴたりと止まる効果的な言葉を探す。

まだハッキリと決まってないけど、きっとこれが一番・・・。


「お見合いするから」


そう書いて送信すると、しばらく間が空いた後に吹き出しが現れた。


『そうか』


これで、ふたりでは会えないと理解してくれたかな。

もう誘われることはないかもしれない。

今まで楽しかったな・・・。

ふたりで飲みに行ったお洒落なお店や真辺が注文してくれたカクテル、時間を忘れて話したこと、わくわくふぁーむで膝枕をしたこと、なんだか色々と思い出してしまって、自分で決めたことなのに胸が締め付けられる。

真辺だって本気の恋をするのだ。私に会っていたら、あらぬ誤解をされて何かと不都合になるだろう。

この気持ちは、飲み友達を失う寂しさなのだ、彼氏ができればこんな気持ちはすぐに忘れられる。

それまでの我慢。

明日からは飲み友達ではなく、同期として接すればいいだけのことだ。


白ウサギのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、切なさを紛らわせる。

そうして30分ほど経って気持ちが落ち着き、会社から持ってきた注文票を取り出して実家に電話しようとしたけれど、既に11時近い。


「明日にしよう」


スマホに充電コードを挿していると、ピンポンとチャイムが鳴った。

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