ハウトゥ・シナプス
「お前が好きだよ、梓。もう一度俺と付き合え」
「…………は」
「もとから納得してねえし。話してて気付いたけどやっぱ好きだ」
「え」
「お前は?」
そう言って1歩近づいて、首を傾げる喜一。
…………なに、これ。なにこれ。
「だ、……から私、憶えてないです、って」
「大事にしまったんならまたいつか取り出せるだろ」
「え、いや、でも」
「きらい?」
切れ長の目で私の瞳を見て、形のいい唇が、問いかけてくる。ふわりと揺れる黒髪から、また喜一のにおいがして。
懐かしい、と、思った。
「……そ、の聞き方は、ずるくないですか……」
「俺のこと好きじゃねえの」
「好きじゃなくは、ない、けど、」
───3年間。
短いけれど、色濃くて、それなのに儚くて、その大半を一緒に過ごして、私はそれを、忘れてしまった、のに。
「……な、梓。好きだ」
低い声が、慣れたように耳をくすぐる。
最初会ったときから、このにおいになんだか安心した。前髪のすきまから覗くその目を見るのが、なんだか心地よかった。
コンビニではすぐ、無意識にミルクティーを掴んでいた。